2015年12月31日木曜日


明けましておめでとうございます


地湧社は、創立以来月刊誌「湧」を発行してきました。
「湧」は、単行本をはじめとする出版活動の宣伝をするとともに、地湧社の設立理念を明確にしていく広報的役割を果たしてきました。
今年、改めて原点を振り返り新しい一歩を踏み出すために、第1号からの巻頭言を1日1編ずつ掲載していきたいと思います。
「湧」は、一昨年「じねん36.5°」にリニューアルし、これも現在休刊していますが、今年度中に復刊したいと考えています。
また、今回連続掲載する「湧」巻頭言280編をまとめた冊子を作りたいと思います。詳細は追ってお知らせしますが、その際はご支援いただけると幸いです。


月刊「湧」1986年1月号巻頭言

スピリチュアル・レボリューション

環太平洋圏の文明の時代が来た、ということが話題となって久しい。日本、アメリカ、オーストラリア、中国などを合わせるとこの地域は、資源、技術、消費という現代の物質文明を発達させる基本条件を豊かに備えているから、かつてのヨーロッパ文明にとってかわって栄えるであろう、といわれている。
 けれども一方、この太平洋をはさんで向かい合った東西の異質な精神文化を携えた人々が、物質主義に準拠した既存の組織とかかわりなく、静かな交流を始め、全く別の新しい時代を開こうとしている。
 先般この太平洋を越えて対岸のアメリカを訪ねた折に、その精神風土の違いをこえて人間の存在の根底を流れている深い英知に学ぽうとしている人々の姿を多く発見し、そこにこの国の新しい鼓動を感じたのである。
 東西を問わず歴史のなかで、目先の物質至上主義にとらわれない、精神的・宗教的=スピリチュアルな素質を持った人々がいたが、それは組織や物質主義と巧みな共存をなしえた人か、受難の猛火の中で強靭な力を持ったごく限られた一部の人々であった。
 しかしいま、無差別に核爆発の脅威にさらされた時代になって、その様相は急速に変化して、そのスピリチュアルな世界を特定の立場をもたない名もなき多くの人々が求めはじめている。
 その証の一つとして、アメリカの西海岸に住むマリリン・ファーガソンは、このような新しい自覚をもった人々の存在をつぶさに調べて『アクエリアン革命』(松尾弌之訳)で詳しく報告した。そしてさらにこれを代弁したかのような、シャーリー・マクレーン著『アウト・オン・ア・リム』(山川紘矢・亜希子訳、地湧社近刊)はスピリチュアルな世界の到来を予告し、数百万人のアメリカの組織なき読者から同意を取りつけて、いまミリオンセラーとなっている。(M)



この文章が書かれたのは、1986年1月。ちょうど、30年が経ちます。
果たして、スピリチュアル・レボリューションは進んでいるでしょうか?
シャーリー・マクレーンは、ほんとうに大切なものは見えている現実にはなく、外や他人に求めなくても自分の中にあるんだよ、すべてはあなた自身なんだよ、と言っています。
みなさん、何となくそう感じるでしょう? 
もう変わってきているのです。
先日、『アウト・オン・ア・リム』の翻訳者、山川紘矢・亜希子夫妻の30年感謝の会に参加させていただきました。ご夫妻をはじめ、参加者のどなたもみんな人生をほんとうに楽しんでおられます。現実をしっかり見据えながらも、振り回されず自分を生きていらっしゃる素敵な方ばかりでした。
(2016年1月1日 増田圭一郎 記)