2014年1月21日火曜日

【新刊のご案内】 『ネロの木靴 「フランダースの犬」ネロはなぜ自殺したのか』(臼田夜半著)

2/5発売予定で、『ネロの木靴 「フランダースの犬」ネロはなぜ自殺したのか』(臼田夜半著)が刊行されます。












四六判 192ページ 1575円(税込)
ISBN978-4-88503-228-8

 『フランダースの犬』ネロとパトラッシュの物語は、児童書やアニメでみなさんよくご存知だと思います。ネロとパトラッシュが最後に凍死する、とてもかわいそうなフィクションの物語ですが、この結末については、子どもにふさわしくないと、ハッピーエンドに書き換えられて出版されたこともありました。
 また、アニメではネロがパトラッシュを抱いて「なんだかとても眠いんだよ」と、結果として凍死したように描かれていますが、原作では、はっきり「いっしょに横になって死のう。だれもぼくたちを必要としていないんだ。ぼくたち、ふたりっきりなんだ。」と言っています。
 『ネロの木靴』は、この物語の後日談として幼なじみのアロアを主人公に書かれています。アロアはその後の人生で多くの苦難や死と向かいあううちに、ネロの死について深く考えるようになります。物語は、言葉や理屈を超え、深く魂のなかに分け入り、生きることの意味を伝えてくれます。
 現代、日本でも閉塞感のなか非常に多くの自殺者が出ています。先に死しかないような絶望のなかでどうやって希望を見出すのか。この物語がそこに一筋の光を与えてくれるような気がします。
 著者の臼田夜半さんは、以前、文科省の学習支援ソフト「いのちの大切さ」の制作で「自殺について考える」というシナリオを書くときに『フランダースの犬』をとりあげたそうです。後に自分が大きな病で死を前にし、自分自身が生きるため
の魂の気づきがあり、病気に打ち克ったそうです。そんな体験が物語の深みを出しているのかも知れません。
 子どもたちが読むには、少々むずかしいかも知れません。しかし、ぜひ中高生から読んでもらいたい、そんな思いで、出来るだけ読みやすいように、ふりがなを少し多めに入れました。ぜひ、若い方にプレゼントしてください。

(編集部)